対決の構図 — DB 実値が示す 3 社の序列
2024年1月を100として3社の株価相対パフォーマンスを追うと(DB由来: prices_daily)、2026年6月現在でソフトバンク110・KDDI110・NTT100という拮抗した動きが見える。通信セクターが「安定的な高配当ディフェンシブ」として機能してきた2年間の結果だ。
しかし業績の中身はDB実値で差が開いている。FY25の営業利益率はKDDI18.9%・ソフトバンク15.1%・NTT12.0%(DB由来: earnings_pl)で、KDDIが首位に立つ。特に注目はNTTの利益率がFY24の14.4%からFY25の12.0%へ-2.4pt悪化した点だ(DB由来)。また、NTTのFY26データはDB未収録のため、FY25が直近の確認値となる。
8軸の比較を通じて、「安定配当・高利益率のKDDI」「大規模・株価割安のNTT」「高成長・高レバレッジのソフトバンク」という3社の特性を実値で読み解く。
収益性 — KDDI の利益率首位と NTT の悪化
営業利益率でKDDIが18.9%(FY25、DB由来)とトップ。FY24の16.7%(DB由来)から2.2pt改善した。au PAY・auじぶん銀行・電力事業等の非通信収益が原価率を引き下げた効果だ。FY26も18.1%(DB由来)と高水準を維持しており、構造的な利益率優位が鮮明だ。
ソフトバンクはFY25で15.1%(DB由来)、FY26に14.8%(DB由来)と安定推移。PayPayの黒字化貢献と5G設備投資の一服が寄与している。ROEは31.5%(参考値)と突出するが、これは高財務レバレッジの反映であり、高収益そのものを意味しない。
NTTはFY24の14.4%からFY25の12.0%(いずれもDB由来)へ2.4pt低下。固定回線の収益低下が続き、NTTデータのグローバル展開コストも重荷となっている。なおNTTのFY26データはDB未収録のため、現時点でFY26の利益率は確認できない。EPS (per_share DB由来) もFY25で11.0円と低く(225:1分割後の実勢額)、PER試算は14.0倍と3社中最も高い。
| 指標 | 9433 | 9432 | 9434 |
| 営業利益率 (FY25) (%) | 18.9 | 12 | •••• |
| ROE (FY25, 参考) (%) | 15.2 | 9.8 | •••• |
成長性 — ソフトバンクの高成長とKDDIのDX拡大
FY24→25の売上成長率(DB由来)はソフトバンク+7.6%・KDDI+2.8%・NTT+2.5%。ソフトバンクはFY24の6.08兆円からFY25の6.54兆円(DB由来)へ急伸し、ヤフー・LINE統合後のエコシステム拡大が効いている。FY26も7.04兆円(DB由来)へ成長が続く見通しだ。
KDDIは法人DX事業の成長率が+13.5%(参考値)と3社中最高水準。中堅・中小企業向けのクラウド移行・セキュリティサービスの積み上げが寄与している。NTTは+2.5%の成長だが、DX成長率は+8.2%(参考値)と大手ITベンダーとの競合でペースが落ちている。
| 指標 | 9433 | 9432 | 9434 |
| 売上成長率 (FY24→25) (%) | 2.8 | 2.5 | •••• |
| DX 事業成長率 (参考) (%) | 13.5 | 8.2 | •••• |
配当 — KDDI の高配当利回りと増配余力
FY25の予想配当はKDDI160円・NTT5.8円(225分割後実勢)・ソフトバンク88円(いずれも公表値参考)。配当利回りはKDDIが5.8%(参考値)と3社中最高水準だ。これは2025年3月の1:2株式分割(DB由来: prices_daily のadjustment_factor=0.5で確認)後の株価で試算した値だ。
KDDIの配当性向は約46%(参考値)で、継続的な増配余力がある。連続増配は22年を超えており(公表値参考)、通信インフラの安定キャッシュフローが裏付けになっている。EPS344.7円(per_share FY25, DB由来)÷株価2,757円(DB由来)で試算するとPER約8.0倍と割安感もある。
ソフトバンクは配当性向が高め(80%超、参考値)で増配の持続性には純利益の成長が前提条件となる。NTTは配当利回り3.8%(参考値)と中程度だが、PBR1.3倍(参考値)と低バリュエーションが下値支持となる。
| 指標 | 9433 | 9432 | 9434 |
| 1 株配当 FY25 (参考) (円) | 160 | 5.8 | •••• |
| 配当利回り (参考) (%) | 5.8 | 3.8 | •••• |
バリュエーション — DB実値EPS/株価で試算したPER
DB由来のEPS(per_share FY25)とDB由来の株価(prices_daily)で試算したPERは、ソフトバンク7.4倍・KDDI8.0倍・NTT14.0倍(いずれも概算)。ソフトバンクとKDDIは相当な低バリュエーションに見えるが、これは通信セクター全体に共通する「成熟産業ディスカウント」と「株主還元を加味しないPERの限界」も影響している。
NTTのPBR1.3倍(参考値)は3社最低で、政府保有35%という大株主構造と純資産規模の大きさを反映する。KDDI2.2倍→1.8倍(参考値)への低下は増配・自社株買いが続く中でも株価上昇に限界があることを示す。ソフトバンクは財務レバレッジが高くPBR5.5倍(参考値)と高い。
バリュエーション観点での優先順位は、下値リスクの小ささでNTT、増配catalyst付きの安定感でKDDI、成長期待でソフトバンクという棲み分けが成立している。ソフトバンクの詳細データはReader / Proプランで閲覧できます。
| 指標 | 9433 | 9432 | 9434 |
| PER (試算) (倍) | 8 | 14 | •••• |
| PBR (参考) (倍) | 1.8 | 1.3 | •••• |